さて、これまでは、私自身のエピソードが中心で、内容も暗いものが多くなってしまいました が、今回の記事は、適応障害の治療中に私が見たドラマや映画を紹介しようと思います。
その中でよかったものや、かえってよくなかったものについて2回に分けて紹介しようと思います(若干のネタバレを含みます)。
まず、この1回目では、あまりよくなかったものをご紹介します。
もちろんここでいう「よくなかったもの」とは、「作品としては面白いが、こと適応障害の療養中に見るとすると、内容や演出に刺激が強く、あまり適さない可能性がある」という意味であり、作品自体を非難するものではありません。
キムタクの職業ドラマ
ここで紹介する話は、もうタイトルでネタバレしていますが、大好きだったキムタクのとあるドラマを見て、しんどくなってしまったという話です。
キムタクといえば、説明不要の国民的アイドル兼俳優ですが、特に私の世代だと、HEROやチェンジ、ミスターブレイン、マスカレードナイトの作品がまさにリアルタイムで見ていました。
私自身も昔から好きな俳優さんでしす。
あれほど、熱い主人公が似合う人物はいませんし、あんなにかっこいいのにプライベートでもほとんど不祥事がない男は、全人類史上類を見ないのではないでしょうか。
言うまでもありませんが、キムタクが出ているドラマは、色々なジャンルがあるものの、熱いドラマが多いです。
特に職業ドラマは、どれも情熱をもって難題に挑む孤高のプロフェッショナルをかっこよく演じ、視聴者も感情移入して心が熱くなり、時に勇気をもらいます。
キムタクの職業ドラマはどれも本当にいいドラマ。大好きです。
ですが、これが、こと適応障害の療養中に見るとすると、とても相性が悪いのです(笑)
グランメゾン東京を見て・・・
私は、療養期間中、少し気力が回復したところで、これまで見られなかったドラマ見ようと、サブスクでドラマを漁りました。
そして、見つけました。
ずっと、見たかったけど、時間がなくて見られなかった『グランメゾン東京』。
当時、病休してから、料理も少しするようになっていたので、なおさら興味があり、見始めました。
見始めてしばらくは、きれいなフランスと日本を舞台にするスケールの大きさ。
キムタク演じる尾花夏樹がキャリアを失脚した経緯とその謎、尾花の粗野な言動の奥に隠れた彼の料理に対する執念と最高の技術。
そして徐々にかつての仲間たちが集まってくる友情物語が続きました。
「なんだか平成の王道ドラマを思い出すな」、なんて思いながらわくわくして見ていました。
しかし、途中、尾花の失脚前のバリキャリ時代の回想シーンがありました。
そこで、尾花が、ミッチー演じる相沢の料理を試食したところ、その出来が悪くてぶち切れ、帽子だったと思いますが、これを投げつけ、げきを飛ばすシーンがありました。
尾花は「死ぬ気で考えたか!」「女と話してる間も、寝てる間もずっと考えてたのかよ!」などと怒鳴り相沢を詰めていました。
このシーンは、尾花の料理のクオリティに対する妥協のない姿勢、料理の世界で星をとることの厳しさを示す象徴的なシーンでした。
おそらく、私が病気になる前は、このシーンを見ても、「熱いなあ」「職人気質だなあ」「キムタクは何でも似合うな」と思って楽しく見ていたはずです。
しかし、療養中、このシーンを見て、「うっ」と胸が苦しくなりました。
そして、何とも言えないつらい気持ちになったのです。
げきを飛ばすシーンを見て辛くなる
病気前であれば、主人公目線でドラマを自然に楽しめていたはずです。
しかし、病気後は、こうして上司が部下にげきを飛ばすシーンで、無意識のうちにその部下目線でドラマを見るようになっていたのだと思います。
だから、多くの人が気にしないこのささいなシーンが気になってしまったのです。
そして、げきを飛ばされガン詰めされる相沢の気持ちのほうに感情移入してしまい、尾花のセリフが、まるで自分に言われているように聞こえました。
「死ぬ気で」というセリフに引っ張られ、「確かに死ぬ気でやらないといいものは作れないよな…」「おれは仕事を死ぬ気でできていただろうか」「俺が休んでいる間、同僚たちは今死ぬ気で仕事をしているのかもしれない…」なんて暗澹たる気持ちになってきました。
実は、私は、もともとは、結構精神論者というか、まさに尾花のように(こんな天才と私を一緒にするのは恐れ多いのですが)、何かをなすためにはストイックにどっぷりとその仕事に浸かるべきだ、みたいな発想をする人間でした。
だからこそ、この尾花の言っていたいこともよく分かる。
むしろ自分も本来そういう思想の人間だった。
けれど、それが今できない自分がいる。
自分はだめだ。
ドラマを見ていはずが、気づくとそんなことを考えていました。
このガン詰めのシーン以外にも、尾花たちが徹夜でメニューを考え続けるシーン、これも、療養中の自分にはしんどかったです。
何とも言えないしんどい気持ち、気が重くなる感じがありました。
おそらく、「仕事でベストを尽くすために、自分に負荷をかけてまでもいいものを追求する」という姿を、ドラマとして見るだけでもしんどいくらい、当時の自分は、「負荷」というものにかなり敏感になっていたのだと思います。
そうして、純粋にドラマを楽しめなくなり、結局、数話見ただけで、グランメゾン東京を見るのを断念してしまいました。
徹夜のシーンが見られない
ちなみに、それでもキムタクの職業ドラマを見たかった私は、『A LIFE~愛しき人へ~』という医療ドラマを見始めました。
しかし、そこでも孤高の天才外科医であるキムタクが、難解な手術のために、術式を徹夜で考えるシーンが続き(これはこれで本来かっこいいシーンなのですが)、どうしても憂鬱な気持ちになり、見るのを断念してしまいました。
やっぱり「徹夜」がきつい。
自分は、これまで徹夜はありませんでしたが、日付を超えるくらいまでは仕事をしたことがあったので、それを思い出してしまいました。
「帰りたいけど、仕事が終わらないから帰れない」というあの追い込まれる感じを肌で思い出し、胸が痛くなるのです。
もし、キムタクが徹夜ではなく、定時後2時間くらい検討して「もういいや、続きは明日やろう」と早めに切り上げ、帰ってくれていれば、まだ私も見続けられていたかもしれません(笑)。
とまあ、好きだったキムタクのお仕事ドラマが見られなくなったという話でした。
結局のところ、「お仕事ドラマそれ自体」が、どうしてもストーリー上「業務上の負荷」のシーンが必要であるため、療養中に見るには適していないということかもしれません
お仕事ドラマは、だいたいの場合、仕事上で難題にぶつかり→主人公ないし同僚たちで協力・努力→難題を乗り越え成果を出し、ハッピーエンド、という構成が多いように思いますが、この「努力」の部分は裏を返せば、「負荷」ということにならざるを得ないのです。
これをご覧になった皆様も、療養中に見るドラマは、厳選していただき、調子の悪い時期は、お仕事ドラマを控えていただくのが無難かもしれません。
以上、好きなお仕事ドラマは、元気になってから見ましょう!というお話でした。
じゃあ何を見たらいいの?
これについては、次回、療養中に見るドラマ・映画②、「阿部寛に救われた話」に続きます。


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